【ただいま研究中】ホトケドジョウを再び 富士湧水の里水族館

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富士吉田の忍野八海ちかくにある富士湧水の里水族館は、淡水魚専門の水族館で、内容はとても充実しています。管内の中央には大きな二重水槽があり、1階から2階へと続くスロープからたくさんの種類の魚たちをまじかに見ることができます。

時代とともに、山梨の川も環境が変わり、いまいる生物も今後50年、100年と存続できるか研究しています。そんななかで、今回「ホトケドジョウ」の研究成果が展示され見ることができるようになりました。

淡水魚の環境は、私たちの生活に密着した問題ですので、是非一度、環境と種の存続をテーマに富士湧水の里水族館に足を運ぶことをお勧めします。

 

 

 

(2008年8月17日7時50分配信 産経新聞)

■20-30年前の自然環境復活を目指して

 巨大な二重回遊水槽や大小の水槽にはニジマスやヤマメ、“幻”のイトウなど計50種5000匹の淡水魚が泳ぐ。国内の淡水魚水族館としては最大規模の山梨県立富士湧水の里水族館(山梨県忍野村)。夏休みでにぎわう展示フロアの舞台裏では、環境省絶滅危惧(きぐ)種IB類「ホトケドジョウ」の保全研究が研究員らによって進められている。

 湧水を好むホトケドジョウ。山梨県内では富士山の伏流水がわき出る忍野八海で有名な忍野村と富士吉田市の一部だけに生息する希少種となった。20、30年前までは村内あちこちにいた。人が生活に便利さを求めた分だけ、小魚たちがすみかを奪われた。

 「50年先、100年先、生きているだろうか。今のままでは駄目だろうな」

 大浜秀規主任研究員はバックヤードでの研究が重要な時期にきていると話す。

 どうすればホトケドジョウの個体数が増えるか。5年前、人工増殖試験研究を始めた。湧水近くに生息するホトケドジョウの実態を今年6月に調べた加地奈々研究員は「これだけしかいないのって感じ。25カ所で生息を確認したけど、1カ所に1匹とか2匹。楽観できない状況だった」と。大浜主任は「魚が自然界で増えるには、有効親魚数が一定地域に500匹以上いないと遺伝的問題があり難しい」との説明を加えた。

 研究過程では産卵期を迎えたホトケドジョウが水槽内で産卵しようとしなかった。産卵床にワカサギ用のシュロも使ってみたが産んでくれない。ビニール製の模造水草を水槽に入れたところ、卵を産みつけた。環境の変化はホトケドジョウの習性さえも変えたのか。笑えない話だ。

 研究では、ほぼ人工増殖が可能となった。今後は物理的環境整備だ。「湧水地が埋められたり、水路がコンクリートになったり。生息域が段差で分断されてもいる」。加地研究員はマイナス要因を解消するには地元の協力が不可欠だという。ホトケドジョウの生息環境を再生する研究は、20年前、30年前の自然環境を取り戻す研究へとつながっていることを意味している。

 

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