2007年の松坂投手の実績を分析

2007年の松崎大輔投手の成績は15勝12敗という成績でした。この成績を皆さんはどう感じましたか?

「いいピッチングをしたのに、味方が点をとれないせいで勝ち投手になれなかった試合が多かった。本当はもっといい成績だったはずだ」という見方と

「失点が多かった試合でも、味方の打点に助けられて、勝ち投手になって、幸運なことが多かった。」という見方も有ります。

はたして、どちらが正しいのでしょうか?

野球専門家が見て、主観的に評価するのではなく、完全にデータだけで評価する「セイバーメトリクス」という手法で、データに基づいて客観的に解析しようとする「学問」があります。

現レッドソックス顧問のビル・ジェームズ氏がセイバーメトリクスにもとずいて考案した「ゲーム・スコア」法で松坂大輔投手の2007年の実績を分析してみました。

以下の観点で松坂投手の実績を評価し、スコアをつけて見ます。

1)まず、基礎点50からスタートする。
2)アウトを1つ取る毎に、1点を追加。
3)5回以降、1イニングを投げ終える度に2点を追加。
4)三振を取る度に1点を追加。
5)ヒット1本打たれる度に2点を減点。
6)自責点1当たり4点を減点。
7)失点(非自責点)1当たり2点を減点。
8)四球を与える度に1点を減点。

 ここで、ジェームズは、「タフ・ロス(惜しい負け=運が悪い負け)」について、「ゲーム・スコアが50を超えたのに、負け投手となった場合」と定義していますが、たとえば、6月5日の対アスレチクス戦、松坂が7回を2失点に抑えたにもかかわらず負け投手となった試合でゲーム・スコアを算定してみましょう。

この試合、松坂のデータは、三振8、安打7、自責点2ですので、ゲーム・スコアは63となり、ジェームズの基準からは立派な「タフ・ロス」と認定されるのです。

 という具合に、レギュラーシーズン中、松坂が登板した全試合について「ゲーム・スコア」を計算すると、「タフ・ロス」はア・リーグ1位の7試合に上り、「松坂はリーグで一番運が悪い投手」と、晴れて認定されるのです。


しかし、ジェームズは、「タフ・ロス」の反対に「チープ・ウィン(安っぽい勝ち=運がいい勝ち)」とするカテゴリーも設け、その基準を「ゲーム・スコアが50未満なのに勝ち投手になった試合」と定義し、「タフ・ロス」の時に計算したスコアで、松坂の登板全試合を検定すると、松坂の「チープ・ウィン」は、なんと、リーグ3位の5試合もありました。

20071204-east_img_matsuzaka.jpg 松坂大輔投手セイバーメトリクスは、「松坂はリーグで一番運が悪い」と言う一方で、「リーグで三番目に運がいい」とも言っているのです。


 というわけで、松坂は運がいいのか悪いのかわからない「不思議な」投手なのですが、「タフ・ロス」は「点をあまりやらなかったのに負け投手になった試合」、「チープ・ウィン」は「点をたくさん取られたのに勝ち投手になった試合」であることを考えると、「松坂が投げる試合は、ワンサイド・ゲームが少ない」ということは事実としていえるのではないでしょうか。

このことからも、打撃人の調子のいいときのレッドソックスは松坂大輔投手がいる限り、無敵と言えるのではないでしょうか?来年の活躍に期待がかかりますね。

松坂投手も、この辺のところは理解しているようで、今年の内容を自分なりに分析して、いろいろ時がついていることがあるようですし、来年はもとやれると自分で楽しみだと言っているのは、なんとも頼もしい限りです。


(gooニュース・スポーツ2007年12月4日より引用)
http://number.goo.ne.jp/baseball/mlb/column/20071204-1-1.html


 

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