心停止…大学内のAEDで救命

とても参考になるAEDの記事を見つけた。慶応大学の体育館で起きた出来事だ。

フットサルの練習試合の最中に一人の選手があおむけに「バタン!」と倒れた。

仲間の対応は素早くチームワークが良かった。それは、大学で救命講習を受けていたからだと思う。

わずか1分少々で、AEDによる対処がなされ、一命をとどめた。

 

2009年2月20日  読売新聞より)

 昨年6月の午後7時、神奈川県の慶応大学湘南藤沢キャンパス体育館。激しいボールの奪い合いに、だれもが目を奪われていたその時、少し離れたところで突然、「バタン」と人が倒れた。さっきまでプレーしていた2年生のBさん(20)があおむけになっていた。

 観戦していた総合政策学部2年の横川達郎さん(20)らが驚いて駆け寄ると、ピクリとも動かず、顔は真っ青だ。胸に耳を当てても何も聞こえない。「あっ、心臓が止まってる」

 仲間の動きは早かった。ひとりが携帯電話で119番、別の一人は、Bさんのあごを手で押し上げて、呼吸できるよう気道を確保した。女子学生は、突然死の原因になる心室細動を起こした時に心臓に電気ショックを与えるAED(自動体外式除細動器)を取りに2階から1階に走った。学生たちは、大学で救命講習を受けていた。

 1分もたたずにAEDが到着。電源を入れて流れる自動アナウンスに従い、体に器具を装着。ボタンを押すと、「ドン」と大きな音がして、Bさんの体が数十センチも宙に浮いた。

 続いて流れた「心臓マッサージを続けてください」のアナウンスで、横川さんは、胸の真ん中に両手を組んで乗せ、強く押した。講習で習った通り、胸がへこむほどの強さで、リズミカルに。すると、「あぁ…」と苦しそうな声がもれた。

 間もなく救急車が到着し、藤沢市民病院に搬送された。当直医だった赤坂理さんは、鎮静剤などを使いながら、血圧や脈拍を管理して再発を警戒した。

 4日後、目を覚ましたBさんは、「いつもと変わらない」というほど、体調は回復していた。倒れた前後の記憶はなかった。

 その後、都内の病院で精密検査を受けると、冠動脈がけいれんする冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症などが見つかり、心室細動が再発した時に自動的に心臓に電気ショックを送る植え込み型除細動器の手術を受けた。大学には夏休み明けに復帰した。

 AEDは主要な駅など公共の場に設置が広がっており、使用法を含む救命講習は各地の消防署などでも開かれている。「一度でも受講すれば、だれでも使えることがわかる」と赤坂さんは参加を呼び掛けている。(神宮聖)
(次は「ホルモンの病気」)

 応急手当てと損害賠償 弁護士の木下健治さんによると、善意による応急手当ては、著しく注意を怠っていなければ、結果としてうまく行かなくても責任を問われないという。民法第698条(緊急事務管理)に規定がある。

 

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